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ヨハン・クライフのウイング哲学


ウイング不要論さえ飛び交う現代サッカーにおいて
ウイングについて語ることはそのままクライフのサッカーを語ることと
同じなのかも知れません。

自身が監督となって指揮したアヤックスやバルセロナにおいて
クライフは超攻撃的なサッカーを繰り広げました。

その超攻撃的なサッカーを可能にしていたのが
両サイドに大きく開いた「ウイング」でした。

「フットボールは常に魅力的にプレーされなければならない。
攻撃的にプレーされなければならない。スペクタクルでなければならない」。


「スペクタクルであること」


これがヨハン・クライフのサッカー哲学の起点になるのです。

監督としてのクライフは、90年代前半のバルサで、
名高い「ドリームチーム」とともに偉業を成し遂げました。

監督としてバルセロナにやってきた最初の瞬間から明白なウイング志向を示し、
ベギリスタイン、ゴイコエチェアの2人がチームの鍵となり、エースになりました。

グラウンドを去ってもう10年近くになりますが、

いまでもなおクライフはこう言います。

「相手より多い中盤と、フィールドを左右に大きく開くための二人のウイング。
そして彼らが作ったスペースを残りの選手が利用し、相手にダメージを与える。
これが私の理想のサッカーだ。」

クライフのサッカーにおいて、二人のウイングの存在は絶対不可欠なのです。

クライフは「ウイング」について、

「ウイングはスピードがなければならない。器用でなければならない。
1対1で抜く力を持ち。何より、チームプレーにおける頭の良さがなければならない」。

と述べ、さらに彼のゲームマニュアルの一つでは、
次のようにも説明されます。

「われわれはショートパスにうんざりし、ウイングにボールを渡すため
サイドバックがライン際を走り回る姿にうんざりする。

あれではまるで陸上競技のリレーだ。
ボールに消耗させられているだけじゃないか。

だいたいにおいてサイドバックはウイングよりテクニックが劣る。
だから彼らがよく考え、
ボールをコントロールするための時間を与えてやることが大事。

そのためにも、ウイングはサイドバックがボールを運んでくるのを
待っているべきではない。<ウイングはサイドに開き、
新しいスペースを作り出さなければならない。

それによってサイドバックは頭を上げ、状況を見て、考え、チームにとって
最高のオプションを選べるようになる。」


ウイングの現状についてクライフは大いに嘆いてもいます。

「現在のサッカーでは、どのチームのウイングも中盤まで下がって
ボールをもらうことばかりに執心している。

あらゆるパスが5メートル以内だ。それでは何もかもが困難になる。
狭いスペースの中でプレーすれば、状況はより難しくなるのだから。」

最近のウイングのプレースタイルを批判するのは、
ウイングがサイドに開くことで生まれるアドバンテージ(スペース)が
生かされていないと信じるからでしょう。

「マーカーを背中にくっつけたままサイドバックに近寄っては駄目だ。
これではスペースが狭まってしまう。
やるべきことは、
別のサイドに向かって動き、本来ないところにスペースを作ることだ」。

またウイングを使い、3−4−3システムを用いて戦ってきたにも関わらず、

「私にとって唯一の戦術はチームの力を知り、そこからどうやって
最高のパフォーマンスを引き出すかを知ること。そして敵の弱点を知り、
それをどう利用するかを知ること」

と言います。

リネカー、ストイチコフ、ラウドルップを本人が
好むポジションではないウイングとして使ったクライフは、

自分のラインアップをこうして正当化しています。

「相手のサイドバックの一人が弱点だと分かったとき、そのサイドに
最高の選手を送ったものだ」。

ベンチからほぼ10年聞離れていても、
クライフはサッカーを、そしてウイングを誰よりも知っています。

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